2025年ドラフト会議で中日ドラゴンズが選んだのは、“未来のローテ再構築”を見据えたバランス型の補強だった。
大野雄大・松葉貴大・涌井秀章とベテラン先発陣が支えてきた一方、年齢面とシーズン通しての体力維持は避けられない課題。
また、上林誠知や清水達也などのFA権取得も見込まれる中、即戦力と育成素材をまんべんなく確保する必要があった。
ドラフト1位の中西聖輝をはじめ、櫻井頼之介や篠崎国忠といった投手陣の補強に加え、能戸・新保・花田と将来の得点力を担う野手も指名。ここから、
中日の“次の3年”を作る青写真が見え始めている。
なぜ今「先発投手の再構築」なのか?
ローテの中核を担う投手が30代後半に差し掛かるという状況は、チームの未来図を描くうえで大きなテーマとなる。
今季こそ粘り強く試合を作ってくれているが、来年・再来年も同じようにできる保証はない。これは、ファンも首脳陣も暗黙に理解している現実だ。
さらに、清水達也や上林誠知といった「働き盛りの主力」がシーズン終了後に FA権取得見込み。
“今の戦力を維持できるかわからない”という前提での編成が必要になる。
言ってしまえば——
「今勝ちたい」と「未来を作らなければいけない」が同時に存在している。
だからこそ中日は、即戦力投手+野手の育成素材をまんべんなく確保したのである。
中西聖輝(青山学院大)一本釣りが象徴する「迷いのない補強」
中日がドラフト1位で指名した中西聖輝は、最速150キロ超のストレートに加え、スライダーやチェンジアップの完成度が高い即戦力右腕。
いわゆる「投げられる先発」を、迷いなく指名できたことは大きい。
大学野球での対戦データを見ると、右打者に対して被打率.210台と、インコースの出し入れが非常に上手いタイプ。
プロでも「ローテ6番目から始めて、気づけば3番手になっている」ような成長曲線が期待できる。
櫻井頼之介と篠崎国忠、ローテとブルペンの同時強化
2位の櫻井頼之介(東北福祉大)は、投手としては小柄ながら球威が強く、ストレートで押せるタイプ。
昨今の投手は「球速が出ても押し込めない」例が多いが、櫻井は回転効率が高く、空振りが取れるストレートが武器だ。
3位の篠崎国忠(徳島インディゴソックス)は、逆に 身長197cmのロマン型右腕。
投げ下ろしの角度と155km超の速球は、“プロで覚醒したら手がつけられないタイプ”そのものだ。
・中西 → 先発で計算したい
・櫻井 → 先発orリリーフで回しやすい
・篠崎 → ロマン枠兼ブルペン強化
ローテの「谷間」と「中継ぎの厚み」両方を補う設計。
“必要なところに必要なパーツを入れた”という現実的な補強でもある。
能戸・新保・花田の野手指名は「未来の得点力」の種まき
・4位:能戸輝夢(明秀日立)
俊足巧打。岡林の後ろを打たせたくなるタイプ。
・5位:新保茉良(東北福祉大)
守備安定型。試合終盤、「取られてはいけないアウト」を確実に取る存在は大きい。
・6位:花田旭(東洋大)
身長187cmの右打ちスラッガー。「中日の右の大砲欲しすぎんか問題」に一緒に風穴を開けてほしい。
中日は長年、得点力不足が叫ばれているが、
得点力は一夜で改善しない。
だからこそ、この“点を取れる可能性のある選手”を毎年積み重ねることがとても重要だ。
育成指名にも「役割の明確化」が見える
・牧野(左のリリーフ)
・石川(大柄な長距離三塁手)
・三上(強肩俊足外野手)
「何を期待されて入団したのか」が明確なので、育成としては成功パターンに入りやすい。
特に牧野は 支配下昇格の最短候補だ。
中日は左の中継ぎが足りない。明確にチャンスがある。
2025年の中日は「次の3年」を戦うチームになれるか
ドラフトは宝くじではなく、投資だ。
1年で結果が出ないことのほうが多い。
しかし、中日の今回のドラフトは、
・即戦力の補填
・将来の得点力の種まき
・FA流出の備え
これらがきちんと整理された “未来の形を意識した補強” となっている。
もし中西がローテに入り、能戸か花田が1軍に顔を出してくれたら——
中日の未来は、ちょっと明るく見える。
いや、ドラゴンズファンはいつだって言う。
「来年こそ青い星が輝く」 と。
でも、今年はその言葉に少し根拠がある。
ここが、例年とは少し違うところなのだ。
今年もやってきました、秋の恒例行事「プロ野球ドラフト会議」。
まるで季語のような存在になってきましたね。
毎回ドキドキしながらテレビ前に待機し、もし「くじ」になろうものなら、こちらの手のひらまで汗でしっとり…。
しかし今回は、なんと一本釣り成功!これはお見事。
前評判では人気が高く、複数球団競合の可能性も言われていた選手だけに、「中日だけ」という結果はまさにスッと隙間に差し込んだ感があります。
他の指名選手もバランスが良く、未来への期待が膨らみます。
いや、もちろん毎年この時期は「来年は強いぞ…!」と言っている自覚はあります。
でも今回は…ちょっと本当に強いかもしれませんよ?

