毎年10月になると「体育の日だったなぁ」と懐かしむ方も多いのではないでしょうか。
そもそも、なぜ体育の日は「10月10日」から始まったのか? そして、現在の「スポーツの日」がなぜ7月に移動したのか――。
学校行事との関係をひもとけば、運動会の日程が変わった理由も見えてきます。
もともとは「健康増進」を目的に作られた祝日ですが、果たして実際に私たちは健康になったのか?
さらに、スポーツを祝う国民の祝日がある国は国際的にも珍しいのだとか。
名称が「体育の日」から「スポーツの日」へ変わった背景には、社会の意識変化というメッセージも潜んでいます。
そして最後に…「10月10日は晴れが多い」という都市伝説、本当なのでしょうか?
ちょっと真面目で、少し笑える“体育の日の真相”を探ってみましょう。
体育の日はなぜ「10月10日」から始まったのか?
体育の日が制定されたのは1966年。
由来は1964年の東京オリンピック開会式の日で、ちょうど10月10日にあたります。
当時は「なぜ10月10日なの?」と疑問に思う人も多かったのですが、実はこれ“晴れの特異日”として有名でした。
統計的に東京で雨が少なく、イベント開催に適していたのです。
国がオリンピックの記念日と天候の安定をうまく掛け合わせて祝日を設定した、というのはちょっとした都市計画の妙。
実際、1964年の開会式も見事な秋晴れでした。
スポーツの日が「7月」に移動した理由とは?
2020年から体育の日は「スポーツの日」に改称されましたが、さらに移動問題も発生しました。
2021年には東京オリンピック開催に合わせ、特例で7月に移動。
これには「国民がオリンピックを意識して一体感を持てるように」という狙いがありました。
ただ、移動は一時的な措置で、翌年からは再び10月に戻されています。
つまり「祝日がスポーツイベントに合わせて動く」という、日本では珍しいケースだったわけです。
世界的に見ても、国民の祝日が五輪のために動くのは異例。
まさにオリンピック開催国ならではの“柔軟対応”でした。
学校行事と体育の日|運動会の開催日が変わった背景
「体育の日」と聞くと、学校行事の運動会を思い浮かべる方も多いでしょう。
実際に、かつては10月10日前後に運動会が行われることが多かったのです。
しかし近年は春開催が増加。その背景には2つの理由があります。
まず、秋は台風シーズンで天候リスクが高まったこと。
次に、夏休み明けから短期間で準備を整えるのが難しくなったことです。
さらに熱中症のリスクも指摘され、近年では5月や6月の爽やかな季節に運動会を移す学校が増えているのです。
「秋の大運動会」が「春のイベント」へと変化しているのは、時代のライフスタイルと気候変動を反映した動きといえます。
健康増進のために作られた祝日…実際に効果はあるのか?
体育の日の目的は「国民がスポーツに親しみ、健康な心身を培うこと」でした。
では実際に、国民はこの日をスポーツに使っているのでしょうか?内閣府の調査によると、祝日に「体を動かす」と答えた人は全体の2割程度。
残りは買い物や休養に充てているのが現状です。
つまり、理念と実際には大きなギャップがあるわけです。
もっとも、休日に無理やりスポーツをする必要はなく、家族で散歩に出かけたり、買い物ついでに歩数を増やしたりするのも「健康増進」の一環。
皮肉にも、体育の日が「ソファでゆっくり過ごす日」になっている人が多いのは現代らしい光景ともいえます。
スポーツの日が国際的に珍しい理由
世界各国の祝日を見渡しても「国民がスポーツをする日」というテーマはかなり珍しい存在です。
多くの国の祝日は建国記念日や宗教行事、戦争関連の記念日などで占められています。
その中で「運動しましょう」という趣旨の祝日を持つ日本は、ある意味ユニーク。似た例を挙げるなら、カナダの「フィットネスの日」やイランの「スポーツの日」がありますが、日本ほど国民的な規模で定着しているケースは稀です。
つまり、体育の日=スポーツの日は「日本が世界に誇るユニークな文化」ともいえるのです。
雑談で「世界でスポーツの日がある国は数えるほどしかないんですよ」と披露すると、ちょっと知的に見えるかもしれません。
体育の日からスポーツの日へ|名称変更に潜む社会的メッセージ
「体育の日」が「スポーツの日」に変わったのは、単なる言葉の入れ替えではありません。
実は「体育」という言葉には「教育の一環として体を鍛える」というニュアンスが強く、学校的なイメージがありました。
一方で「スポーツ」は年齢や立場に関係なく楽しめる活動としての意味合いがあります。
つまり国は「学生のための体育」から「国民全員が楽しむスポーツ」へと概念を広げようとしたのです。
少子高齢化が進む中で、運動の裾野を広げるための政策的意図が隠されていると言えるでしょう。
雨の少ない日を狙った?「体育の日の都市伝説」
最後にちょっと面白い話を。
体育の日が10月10日に設定されたのは“晴れの特異日”だからと言われていますが、実際の統計をみると100%晴れるわけではありません。
気象庁データでは、確かに他の日より晴れる確率は高いものの、雨が降った年もあります。
つまり「必ず晴れる」というのは都市伝説的な要素が強いのです。
それでも、国が祝日を決める際に「天候の安定度」を考慮したのは事実で、世界的にも珍しいエピソード。
運動会シーズンと相まって、「体育の日=晴れやすい日」というイメージが国民に定着したのかもしれません。
やっぱり「体育の日」と聞くと、秋の運動会を思い出しますね。
小学生のころ、砂だらけになりながら組体操や騎馬戦を必死に練習したあの日々…いま思えば、先生方は安全管理で冷や汗ものだったはず。
最近は危険との理由で姿を消しつつあり、30年後には「ピラミッド?人間で?それ本当にやってたの?」と笑い話になっているかもしれません。
時代は変わっても、運動会で声を枯らして応援した記憶は不滅。
あの妙な団結感、今でもちょっと恋しくなります。