H3ロケットの打ち上げが、2回目にして再び失敗しました。
「何が起きたのか」「なぜ失敗が続いたのか」──多くの人がそう感じたはずです。
そもそもH3ロケットとはどんな存在で、日本はそこに何を託してきたのか。そして今回の失敗が、なぜ「日本の宇宙開発に大打撃」とまで言われるのか。その背景には、技術だけでなく、スケジュールや信頼、国際競争という現実があります。
海外ロケットと比べ、日本は本当に遅れているのか。ネットで「税金の無駄」と批判が噴き出す一方、挑戦を評価する声があるのはなぜか。
それでも日本が宇宙開発をやめられない理由と、H3ロケット失敗が突きつけた本当の課題を、データと事実をもとに冷静に掘り下げていきます。
H3ロケット2回目の打ち上げ失敗、実際に何が起きたのか
今回のH3ロケットは、打ち上げ直後こそ順調に飛行していました。
ところが飛行中、エンジン系統に異常が検知され、ミッションの続行は困難と判断されます。
結果として、安全を最優先した制御によって打ち上げは失敗に終わりました。
ここで重要なのは、「派手な爆発事故」ではない点です。
システムは正常に異常を検知し、止まるべきところで止まりました。
つまり、壊れたというより、止めた失敗だったのです。
ただし、止めたから安心という話でもありません。
2回目というタイミングで同様の課題が解消されなかったことは、開発計画そのものに見直しを迫る出来事でした。
H3ロケットとは何か、日本がそこに賭けたもの
H3ロケットは、日本の主力ロケットだったH2Aの後継機として開発されました。
H2Aは成功率約98%という、世界でも屈指の信頼性を誇るロケットです。
それでも日本がH2Aからの転換を決めた理由は、コストでした。
H2Aは1回の打ち上げに100億円以上かかり、国際市場では価格競争に太刀打ちできなくなっていたのです。
H3は、そのコストを約半分に抑えることを目標に設計されました。
安く、柔軟に、多く打ち上げる。
これは世界の宇宙開発の潮流でもあります。
ただし、コスト削減は「余裕」を削ることでもあります。
H3は、完成された優等生ではなく、挑戦を前提としたロケットでした。
なぜ2回目の失敗は「大打撃」と受け止められたのか
初号機の失敗であれば、「新型だから仕方ない」と受け止められる余地があります。
しかし2回目となると話は変わります。
宇宙開発、とくに商業打ち上げの世界では、成功率が信用そのものです。
1回の失敗は想定内でも、2回続けば「使って大丈夫なのか」という疑念が生まれます。
さらに深刻なのは、スケジュールへの影響です。
ロケットが使えなければ、衛星は打ち上げられません。
気象観測、防災、通信、防衛など、多くの計画が連鎖的に遅れます。
失敗そのもの以上に、「止まる時間」が日本の宇宙開発にとって痛手なのです。
海外と比べて、日本の宇宙開発は本当に遅れているのか
よく引き合いに出されるのが、アメリカのSpaceXです。
SpaceXは年間数十回から100回近い打ち上げを行い、失敗も経験しています。
それでも評価が落ちないのは、失敗しても次が早いからです。
失敗を前提に数をこなし、改良を重ねる。
この「回転数の違い」が、日本との差を生んでいます。
日本は、打ち上げ回数が少ない分、1回の失敗が極端に重くなります。
慎重であることは強みですが、スピード競争の時代には弱点にもなります。
ネットで批判と擁護が割れる理由
今回の失敗で目立ったのは、技術そのものより「税金」という言葉への反応でした。
「失敗=無駄遣い」という感情が、どうしても先に立ちます。
一方で、擁護派は「失敗しなければ技術は進まない」と訴えます。
これも正論です。
ただし、両者の溝を深くしているのは、説明不足でしょう。
なぜ失敗したのか、次にどうするのか。
それが十分に伝わらなければ、理解は得られません。
それでも日本が宇宙開発をやめられない理由
宇宙開発は、遠い世界の話に見えて、私たちの生活と直結しています。
天気予報、カーナビ、災害監視。
これらはすべて、ロケットによって宇宙に届けられた衛星が支えています。
もし日本が宇宙開発をやめれば、他国のシステムに頼るしかありません。
それは便利かもしれませんが、安全とは限りません。
宇宙開発はロマンではなく、インフラなのです。
H3ロケット失敗が突きつけた、日本の本当の課題
H3ロケットの失敗は、日本の技術力の限界を示したわけではありません。
むしろ浮き彫りになったのは、挑戦と失敗をどう社会で受け止めるかという問題です。
成功だけを求め、失敗を許さない空気の中で、最先端の開発は続けられるのでしょうか。
次の打ち上げで問われるのは、成功か失敗かだけではありません。
日本がこの失敗をどう説明し、どう次につなげるのか。
それこそが、H3ロケットの行方以上に重要なテーマなのかもしれません。
今回のロケット打ち上げ失敗は、とても残念な出来事でした。
注目度が高まるほど期待も膨らみ、その分「失敗が許されない」という大きなプレッシャーと向き合うことになります。
税金を使った国家プロジェクトである以上、「もったいない」と感じる人がいるのも当然でしょうし、国際的な目を気にする声が出るのも理解できます。
ただ一方で、失敗があったからこそ見える課題や得られるデータがあるのも事実です。
宇宙開発は、成功だけを積み重ねて進むものではありません。
今回の経験を無駄にせず、次へどう生かすのか。
この失敗が、日本の宇宙開発にとって「終わり」ではなく「始まり」になることを期待したいところです。


